小学校のゾッとする焼却炉

小学生時代の話。

季節は、もうすぐ寒くなってくるころだった。

オレの通っていた小学校には、焼却炉があった。(他の小学校を知らないけど、どこにでもあるものなのだろうか?)

その焼却炉では、よく用務員のおじさんが要らないプリントなどを燃やしていた。

危ないからか、本来は子供たちが近づいてはいけない場所だった。

でも、あの日の放課後に、先生の言いつけでオレがプリントを燃やすことになったんだ。

用務員のおじさんも、最初はそばにいたのだけど、5分ほどどこかに行ってしまった。

その間、焼却炉はオレが独占している状態だった。

燃やしていたのは、何のプリントだったか覚えていない。

たぶん、学芸会で使ったしおりのようなものだったと思う。

学年の人数分、100個くらいのしおりを1つずつ放り込んでいたのだが、燃える焼却炉の中であるものが見えてしまった。

プリントが燃えている炎の中に、人の顔がゆらゆらと揺れていたのだ。

心臓が飛び出るほどビックリした。

見間違いではない。

とても怖かったけれど、見間違いで大騒ぎするのは嫌だったから、何度も確認した。

それは、人の顔だった。

中年の男性の顔が、炎の中でゆらゆら揺れているのだ。

まるで、燃えながら踊っているかのように見えた。

表情はニタニタとしていて、燃やされている人の表情ではなかった。

オレは、残っていたしおりをすべて焼却炉へ投げ捨てるように放り込むと、一目散に逃げ出した。

逃げ出すときに、用務員のおじさんとすれ違った。

オレのただ事ではない様子を見て、おじさんは声をかけてきた。

「おーい、どうした?」

その声を、無視して走る。

しばらく走った後、校庭のど真ん中で止まった。

ここまで来れば大丈夫だろう。

周りには多くの生徒たちが、放課後の校庭で遊んでいたのが心強く思えた。

追いついてきた用務員のおじさんは、オレの顔を覗き込んだ。

そして、こう言った。

「・・・・見たのか?・・・・あれを見たのか?」

「・・・・あれって?」

するとおじさんは、独り言をつぶやくように言った。

「くそ。もうそんな時期か。うかつだった・・・・」

そして続ける。

「ぼく?今日見たものを忘れられるかい?」

なんて答えていいか分からなかったけれど、黙ってうなずくしかなかった。

大人になった今でも、不思議でたまらない。

オレが小学校のときに見たあれは、いったいなんだったのだろうか・・・・?

燃える顔を忘れさせようとするなんて、用務員のおじさんは何を知っていたのだろうか・・・・?

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